*発信元 カナロコ
◎科学のめざめ/的川泰宣さんの場合/興味の1歩先へ
%記者名 大無田龍一
芽生えた興味の一歩先に踏み出せるかどうかが、本当の科学の目覚めにつながるのだと思う。
放課後の教室。中学2年生の的川少年はクラスメートの天体望遠鏡で月に一本の黒い線を見付けた。当直の理科の先生にそれが月の地形の「直線壁」(The straight wall)だと教えてもらい、より高倍率の望遠鏡ではっきりと確認したという。
専門的な分野に少し踏み込んだような得意な気持ち。普通なら、そこでひとまず好奇心を満たしてしまうかもしれないが、的川少年は「それで僕は山の高さを計算してみたいと思ったんだ」
月と太陽と地球の位置関係は分かる、自分は今地球から見ている、太陽が壁にどれくらいの角度で光を当てているかが分かれば影の長さから高さが分かるはず―。
分かっていることと分かっていないことや条件を整理し、理論的に推測する。三角比を使う計算はまだ学校で習っていなかったが、そんなことは問題にならなかった。自由研究にまとめ、学外でも発表した。
1歩踏み出した先にある広がりと連鎖する興味。月の観察は的川先生が科学の面白さを知った原体験の1つという。
「だから科学に興味を持つときに参考書とか人の講演会とかそういうものは全然いらないよ。むしろ足元のアリを観察していた方がはるかに科学に近づくと思う。もっと身近にあると思うな」的川さんのライフワークである「宇宙教育」。家庭を巻き込んだ継続的な観察や手を動かしながらの気付きを促す取り組みはそんな考えの表れだ。
興味の一歩先に。今もどこかで的川さんに触発された少年たちが科学に目覚めているのかもしれない。
(止)
山崎一哉。14歳。気象予報士(のタマゴ)。
横浜市在住。栄光学園中学校(鎌倉市)の2年生で、部活は、ソフトテニスです。好きな科目は理科・・・・・